周囲環境を見渡し、自然人工物などの現状を把握し、その来し方行く末に思いを巡らす。ごく自然な反応です。「カント」的にそのこころの動きを批判すればentendementにおける2の形態でanalytiqueとdialectiqueとなる(らしい)。そこで部族民蕃神は
1syntagme共時因果(現状の見極め)
2paradigme経時因果(過去と未来への思い遣り)



なる分かり易く、かつ哲学(もどき)の響きを粧う言葉に置き換えた。
よろしくご理解を。
モンマネキ神話のパラダイム、写真クリックで拡大

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 部族民通信ホームページ   開設元年6月10日 投稿2019年10月15日
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ボロロ族酋長 
悲しき熱帯より
   パラダイムparadigmeを語る (哲学投稿 2019年10月15日  サイト主宰
蕃神(ハカミ)義男
 

フランス語での発音はパラディグム。
大修館スタンダード辞書では【語】範列、語形変化の表とある。
paradigmeに対応する語がsyntagmeである。辞書を開くと「連辞、辞節、記号の結合体」(スタンダード)とされる。以上がレヴィストロースが人類学に応用を試みた、言語学者ソシュールの用いた源義でる。
ここでは言語学に深入りは(出来ないから)省く。

小筆はparadigmeを単純から複雑への経時変遷と捉える。il s’agit a partir d’un objet simple , de decouvrir une structure qui se retouvera dans un objet plus eleve(PlatonMenonDic. de Philosophieからの孫引用)訳;ここで課題となるのは単純な対象から始めより複雑化した(eleve)対象の内の構造を探し出すことである。
単純から複雑へ、この過程は進展である。進展とは指向性を持ち、その指向の目的とする極地点に向かう意志である。例えばS’il fait beau, il deviendra faire chaud.
(天気が良ければいずれ暖かくなる)は指向性を孕む展開である、beau temps良い天気の「思想」の敷衍し発展させている。すなわち;良い天気との指向性は暑さという極地点を持つ。天気がひたすら、空気や大地に蓄熱をかましたり、複雑さを取り込みながら暑さに突き進む。

思考のあり方として
弁証法dialectiqueであり事象の経時因果に寄る展開である。

一方、syntagmeは上のDic. de Philosophieには項目が載せられない。Saussure言語学の独自用語のようだ。上説明(スタンダード辞書)だけでは分からないのでRobertを開けると<groupe de mots qui se suivent en produisant un sens acceptable. 意味を形成する語の結合(語にはmorpheme語素も含む)。少しは分かり易い。語なり語素が結合しているとは共時性を分け持つ属性がその集団にある。共時に結ばれて意味を持つ、すなわち思想を成す、あるいは思想を成す可能性を孕む結合と言える。syntagmeとは共時因果と言える。

S’il fait beau, je sort au dehors.(天気が良ければ外出する)天気とsortir(出る)には共時性でのつながりが内包される。同時発生の事象です。
(注;良い天気を認めた時点と外出する時点には必ず時間差が生じる。しかしそれは行動としての差であり、判断として同時=共時でなければ外出はない。用意整えて出ようとして雨だったら、外出しない)

Syntagmeは同時因果であり思考形態は分析的理性raison analytiqueと小筆は考えます。

パラダイムワールドが縦軸の弁証法と横軸の分析理性で形成されるとすれば、この解釈はカントにつながる(entendement=考える力とは分析理性と弁証法理性であるとしている)。レヴィストロースはこの思考の進め方に沿い、神話群を解析している。

 小筆作成の「モンマネキパラダイムPDFクリック」に入る。

この表の全域を通す思想は「社会の創成」である。

横列syntagmeに天文地理身体...が並ぶ。それらの起点(灰色の楕円)は自然の領域とある。社会は生まれたけれど規則というか、有様の規範が君臨していない。原初社会であるからに、自然に統治されていた状況であるとの先住民の分析が見えている。同盟(婚姻)の制度を彼らは気づいていないから、欲望を行動が一直線に連続していた。故に近親姦が猖獗していたとの神話的思考を現した。同じく横列では母系居住、ペニスを持たない男、月の不在、太陽の不在など並べた。

これら要素が横並びに結合して「思想」を成している。その思想とは原初社会での自然横溢である。混乱、無秩序、連続の社会の形体を思想としている。

Syntagmeの各項目(対象)には指向性が潜む。指向の究極点に向かうとの弁証法を具現する。その究極が文化形成となる。

PDFの左端、社会を見よう。自然とある「制度の不整備」と読み替えてください。制度無し、規格なしがモンマネキの老母に否定される。彼は都合4試行の獣婚(カエル、地ムシ、鳥2種)同盟を結ぶが、そのたびに母(預言者の役割)に否定される。否定理由の全てが「食事作法」違反である。

モンマネキ神話は基準神話M1(Bororo族、火と水の創成)の続きと小筆は解釈する。M1の英雄バイトゴゴは狩りの道具と火をジャガーから盗み村に帰還し、直後の洪水で村人全員が流され、彼と祖母だけが生き残った。

老(祖)母は狩りと火しか備わらないこの文化の肉付けを、食事作法の規定創りから始めると決めた。これがモンマネキ神話の精神であり、すると老母の決意は原始ユダヤ教の預言者の教えと変わるところがないのではないか(ブタを食らうな、鱗無しの魚は禁じられるなど)。実際、彼女の言い切りと断定の言行は小言交えも相まって、古ユダヤの預言者を彷彿とさせる。

食事作法とは「テーブルでのフォークの持ち方、食べ方順番の指南」など(これが食卓作法)を遙かに越える。食物採取の技法、しきたり、加工の方式、味付け材の制限など「文化の規制」から広範にかつ細かな網目で食事たる現象を天網で被う。

最初のカエル嫁はモンマネキに毛虫、ムカデを食させようと壺に貯めこんでいた。姑に「文化人なるヒトが食べるモノではない」見咎められ、唐辛子をたっぷり混ぜ込まれた。これが起因でカエル嫁は、子供を抱えて婚家を逃げ出す。後のヒトには幸いか不運か、カエルDNAを持つ子はヒト界にいない。

姑が課す「文化の規範」は数々のモンマネキ嫁の獣式食事作法の否定である

5番目の妻(初めての人間の女)は、月が天空にいまだ架かっていなかったが故に、月経の周期性を持たず、経血を垂れ流ししていた。これを漁の寄せ餌に使うという機転を利かせた。下半身を土手において経血は川に流れ込ませて、ピラニアが寄せる。分離式上半身が浮かぶ魚をすくい上げる。ピラニアは脚を噛みつこうとするが、そこに下半身は見あたらない。これが「不謹慎」と糾弾されてしまった。
身体分離式の嫁が犯した食事作法違反とは何か;

1経血を寄せ餌にした。間接的に男が女の血を食らう、禁忌である。 

2漁獲とは獲りまくりの野放図作業ではない。経血流し漁は「毒流し」漁の倣いであるが、それは年に一回、特定のワンド場でのみと決まっている。複数回実施するなどは社会のしきたりからして禁忌である(獲りすぎの戒め)。

提題(婚姻同盟)が試みられる、モンマネキの解決策が預言者なる母に否定される。そうした繰り返しが計5度繰り返された。最終的にカヌーで遠方へ嫁探し。この進め方は神話における弁証法思考です。

PDF戻る。左3番目は行動を対象としている。弁証法思考の進展する様が理解できるので取り上げる。

M1神話、バイトゴゴの文化創造譚です。
母系居住、これを近親姦を犯し父に遺棄される。この間には「鳥の巣には雛が居ない」。嘘をついて父親に反逆するバイトゴゴの行動がはさまれる。反抗は父親の社会地位の否定です。金剛インコの雛を求める父の理由とは、飼育して頭飾りを制作するため。頭飾りが彼の地位であり儀礼、葬列での社会順位を保証する。さらには彼の豊かさの象徴としてはたらく。父親は息子と支族を別にする、子
(バイトゴゴ)が儀礼を通過した暁に、支族を別にする男として父と対立する。

ここにも提題(母系引きこもり)否定(母と上下婚オヤコタワケ)受容(儀礼の第一冒険、水の中の宝物探し)、再度の否定(雛は見えないと反抗)...ある指向に向けて行動する弁証法思考が読み取れる。(了) 

SyntagmeとParadigmeが囲む四方を(レヴィストロースの言葉を取りいれ)グローバル野とした。
神話群を特定する手段とした。この発想を取りいれ、新たに「転がる首の神話群」を取りまとめたPDFを作成した(10月31日作成投稿)はこちらクリック。


 
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