ご参考
これまでに作成したパラダイム変換のPDF
(食事作法の起源にて)
文化パラダイムPDF
モンマネキと月嫁PDF
M1神話から月嫁まで
PDF


パラダイム4葉目
今回発表

シミデュが行動を共にした蜘蛛ザルCoata(レヴィストロース著の[「生と料理」挿絵から)
SyntagmeParadigmeは言語学(ソシュール)の用語です。レヴィストロースはそれを借り、独自の概念を加えた。

Synfagmeは共時因果、
分析思考。Paradigme
は経時因果、弁証法思考。これをカントの先験
(Transcendantal)の
2の様態に結びつけた。
これにより神話の
汎人類性を証明した。
遠隔地でも神話が似通う理由は人類であるから
。この思想を手本としてPDFPDFを作成した。
蕃神
フィンランド(神話歴史学)派が主唱した神話伝播論の略図、クリックで拡大(本書から)
 部族民通信ホームページ   開設元年6月10日 投稿2019年10月15日
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ボロロ族酋長 
悲しき熱帯より
 
 神話から物語りへDu Mythe Au Roman 2 (人類学) 投稿20191031
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蕃神(ハカミ)義男

神話の伝播とは筋立てと伝意(メッセージ)が一部族から隣接族に伝わる事象に他ならない。フィンランド学派(歴史学派とも)は似通う神話を群と設定し、登場する人物動物、挿話、筋立てなどを神話要素として分解し、それらが伝播されたとする神話での登場を計測し頻度を比較し、最も多くの神話に採用されている要素を神話原典と特定するとした(本書187~189頁)。

右コラムの写真(本書188頁)で最外周、すなわち最も多く語られる「月の妻、Arapaho娘が月に誘われ妻」となる筋をを基本形式とした。内側をヤマアラシの逸話(ヤマアラシに変身した月が娘を誘う)が囲む。神話とはこのように基本から分岐へと伝播拡大するので、それらのあり方の濃淡を数値で数えたら、伝播の歴史背景が確定できるとした。伝播の流れを民族分布など地理条件とあわせ対照し、神話を民族歴史の構築に用いるとした(らしい、全て本書からの孫引き引用。小筆・蕃神はこれ以上を語れない)。

レヴィストロースはこの方法に異を唱える。

nous pretendons prouver ici que les qutre variantes , a partir desquelles Thompson croit reconstituer l ‘evolution historique du cycle de mari-etoile , ne different pas comme des objets internes dont on se contente de reconnaitre l’extention inegale dans l’espace et dnas la duree.>(本書191)

トンプソン氏は引用した4の神話をもって、「月の夫」神話の歴史サイクルを再構築できるとしたが、それらは神話自体が内包するところの対象物(レヴィストロースが唱える登場者「protagonistes」、すなわち形式)に他ならず、その伝播とは空間的(移動)、時間的(経緯)の差異に他ならない。

このレヴィストロースによる批判を判断する基準とは何かと問いながら再考したい。すなわち「本来、移動、時間の経緯の中で変化するのが前提である属性を、歴史という別次元(社会、政治、習慣など)の変化の説明資料とすることはできない」こうした主張です。

もし、距離と時間での属性の変化が、社会政治などの歴史の変化と同期するのが正であれば、トンプソン氏の主張は正しいが、それこそがレヴィストロースがサルトルとの論争「LaCriqiquedelaRaisonDialectique」で論駁したマルクス弁証法(唯物史観)に繋がります。
(投稿、悲しき熱帯第9章のレヴィストロースのサルトル批判(2019年7月31日、2回投稿)をご参照)

 

レヴィストロースの教える神話の伝播とは?

前述した提題の解を求める事そのものである。繰り返す;

1神話とは、物語とは何か?2神話を逸脱し、なぜ物語に向かったのか? 3神話群が形成する「範囲」とは何か?

前回投稿の最終部はレヴィストロースの言い分でモンマネキ神話の連辞(syntagmatique)には浮き出ないけれど、範列(paradigmatique)の側面には一の主張が宿り、M354M130の反対の範列であり、その逆はあり得ない。

モンマネキ神話の連辞(syntagmatique)側面には浮き出てこないけれど、範列(paradigmatique)に主張が宿り、M354M130の反対(の範列)であり、その逆はあり得ない。Syntagme, paradigmeをスキームに取り込み、同類比較に用いよとの教示であろう。ならば、その手法を駆使して神話群分類法を考えてみよう
これををどのように展開するかが、上記1,2,3提題の
解決につながる。

 

神話の伝播とは;

神話とは3分節の表現形式であり、それら分節は「形式」と「思想」とが対峙している。。形式とは登場する人物動物とか読んで追える筋道であり、一方、思想とは人物(動物)に取り付く属性である。八岐大蛇は「破壊者」、日本武尊は「建国者」など神話思考において人物と役割に一貫性がある(他の3分節表現の形式としてレヴィストロースは言語、音楽を挙げるが、それらについても同じく形式・思想の対峙が認められる)。これが単体としての神話の構造。第一巻「生と調理の前奏曲」を参考にして作成(2019531日)したPDFを参照してください

形式の伝播を重要としない(単体神話構造のPDFで言えばprotagonistes、codeなど)。それらは「空間的(移動)、時間的(経緯)の差異」(前述)の範囲で変化するし歴史「サイクル」など抽象概念なる代物ではないから、規則性など持たない。故に伝播する歴史の指標として採用できない。何が伝播するのか;

神話の思想が伝播する。上記PDFではproprietes(登場者の性格付け)やcodeに対するcodageとなる。

思想を踏み込んで解釈すれば、それは「Syntagme, paradigmeのスキームを神話の同類比較に用いよ」とのお告げとなります。そこで本日(20191019)Syntagme, paradigme表を作成した(下掲載の写真)

下の写真は本投稿に当たり作成した神話群をまとめるのグローバリズム

 (写真、クリックで移動)

用語の解説

1      グローバリズム。SyntagmeParadigmeの座標の枠の内側、神話思想の「総括」、群としての主張である。

2      Syntagme:共時因果、共時性(syncronie)を持つから分析思考(raison analytique)である。

3      Paradigme :経時因果、経時性(diachronie)、故に弁証法の論理(raison dialectique)である。

 

前引用の神話(M391,M392M393M255M362M345)の神話総括(グローバル)は天体における周期性の確立となる。各神話に共通するsyntagme連辞、分析思考は天体の創造、日夜の交替...(以上は上の写真、PDFを参照)となる。paradigme範列、弁証法の論理は罪を犯す(多くは禁忌破り)、罰を受ける、しかし抵抗(反逆)し人間界への復帰を願望する、首だけ人間など村に置けないゆえに追放する、行き場を失った首は昇天する。この流れ(経時性)が、群として取り上げた神話に共通する。レヴィストロースは本書「食事作法の起源」基準神話である「モンマネキの冒険」についても「天体周期性」をも主題としていると説くので最後にM345を追加した。小筆部族民にはモンマネキは「社会コード」婚姻同盟の模索なので、天体の周期性を「付け足し」を役に甘んじさせた次第である。

 

一の神話を取り上げ解釈の手助けに;

M362神話(本頁では引用を控えた、前投稿食事作法の起源3クリックに引用されている)このあら筋から共時経時の枠をパラダイム変換すると;

罪:polyandrie(一妻多夫)での義務(次兄との性交)を拒否した長兄の妻

罰:正当な権利を求めた次兄が末弟に殺される。正しい権利でも次兄は醜かった、妻の拒否はその風体に理由を発する。となると醜さが罪か拒否が罪か。神話はいずれかと語らない。

抵抗:(記述はないが「呪う」などの言辞が発せられたはず)

追放:つきまとわれ呪われるは不快、故に末弟は死骸の脚を切って池に捨てる、胴体は木につるす。

昇天:脚が魚の起源、首と胴体はオリオン座になる(オリオン座は脚無し男と伝わる)。オリオン座と漁労に密接な関連、オリオン座が明け方地平に上る時期(乾期)から魚は特定の河川溜まりに集まる、がある。

Polyandrieは小筆の解釈である。伝承していたMucushi族は途絶えたのでそれを習俗としていたかは確認できない。もしmonogamie(一夫一妻)の婚姻形態であるならば罪は長兄妻が末弟としでかした近親姦となる。そしていずれでも罰は醜い故の次兄に下る。この筋もあり得る)

この神話ではparadigmeの形成過程で連辞syntagmeにある「天体の創造、(日夜の交替)、季節、年月の周期性」の影響が重く沈潜していると伺える。これは前述した<連辞(syntagmatique)側面には浮き出てこないけれど、範列(paradigmatique)側面にその(連辞)の主張が宿り>(1017日投稿の記述)の意味である。

 SyntagmeAnalytique)、ParadigmeDialectique)とそれが形成する四方の枠がGlobalである。この中に位置を占められる神話を叢としてまとめ、それを「神話群」とするのである。このglobalの枠の群の中にidee mythique「神話思考」が働く。伝播におけるいろいろな表情、例えば移動(transformation)、反転(inversement)congruence(思想は変わらず形式が変遷する)などは、部族あるいは民族が論理にいだく神話の思考が、この過程で働く故である、とレヴィストロースは伝えているのだ。

 

さて、すでに小筆蕃神にては過去投稿で神話をパラダイム変換し、その主張とするところの解析を試みております。時間軸としては小筆部族民オリジナルのPDF4葉、右コラムにリンクが)が以前からあって、その後に本稿をまとめました。

 

(レヴィストロース部族民蕃神とで神話伝播と群の形成における解釈差があるので一筆;

 1 小筆が先の投稿で展開したパラダイム変換は1の神話の解析と、その神話がもう一つの別神話に伝播する軌跡を説明した説であります。上掲載の4のPDFの論理です。こちらはレヴィストロースのグローバルにある面ではなく、ただの流れ、線の伝播です。南北新大陸8000キロの旅程を、伝達ゲーム式に神話が伝播したと説明する。

2 レヴィストロースは神話の伝播を神話「思考」の伝達の流れとする。この思考を分析すると(カント主義者として当然ながら)analytiquedialectique(=transcendantal先験の2形態)に分け、それを共時(syntagme)、経時(paradigme)とした。ここに神話群を特定できた。面、地域の伝播を前提にして、それが可能にせしめる担保に人間の智(カントの先験)を置いた。
故に南米マトグロッソのボロロ族神話が、はるばる北米に旅できる仕掛けが見えた訳です。


3 8000キロメートルを伝達ゲームで結ぶのは苦しい。ここでも一本取られの巻です。しかしながら短距離短時間ならば、伝達による伝播もあるやと信じ(せっかく作ったのだから)掲載しておきます。

これからが本題の「物語化」には入ります。

「食事作法の起源」基準神話のM354「モンマネキの冒険」を語り継ぐTukuna族から筋立てでは似通った神話を引用する。

M60 Cimidyue(シミデュ)の冒険(同書92頁)

mesaventuresなので「失敗譚」であるが冒険と訳した)

シミデュは夫に従い狩りに発つ。(樹上の猿を吹き矢で狙い撃ちしてから)夫は<Il la persuada que les organs sexuells des singe coata etaient de l’ouate blanche comme celle  garnissant les dards de sarbacane, et qu’il fallait attendre que le poison fit son effort pour ramasser les animaux quand ils tomberaient morts>「蜘蛛ザルの生殖器は吹き矢の矢先を差し込む白布のような材でできている、毒が回りにくいからサルが木から落ちるまでしばらく待たなければならないから」とシミデュに言い含め、自身は狩りを続けるため森の奥に入った。これはシミデュを捨てる計略にすぎなかった。夫は一人で村に戻った。

木の下でしばらく待つが、落ちてくるはずのサルは一向に落ちない。帰る道など知らないから、樹上のサルがシミデュをめがけて落とす果実を食べてはサル達について行こうと決めた。

夜になってサルは人に変わった。招ねかれた小屋にはハンモックが吊され、シミデュもその一つを借り一夜を過ごした。翌朝、小屋もハンモックも消えて人はサルに戻った。

サルを追って森を一日彷徨し、サル親玉に出会った。彼は常に人の姿を通すが、実際のところジャガーである。親玉と猿子分のためにシミデュはマニオク酒をたっぷり作ってやった。

しこたま飲んで親玉は高いびき「そのうちあのメスを喰ってやるわ」寝言で本音を漏らした。

「あらら大変、食べられてしまう」

シミデュは親玉を「そんな恐い寝言ほざかないで」揺すり起こしたら、なんとすっかり怒ってしまった。でっかい木の実(caivaru=ネット検索できず)を持ち出した親玉は

Il se fit apporter un gros noyau de fruit /caivaru / dont il frappa son nez jusqu’à ce quil saigat>その木の実でシミデュの鼻を血が滴るまで叩いて、血を手に受けて呑んでは酒を食らって寝込むと先ほどの寝言が出てくる。シミデュがまた揺り起こす。こんな繰り返しで親玉含めてサルの全匹がすっかり酔っぱらった。

 

翌朝、親玉は狩りに出た。シミデュが逃げ出さないように脚をしっかりと縛り、長紐の一端は自分が握り、時折引っ張ってはシミデュが拘束されていると確かめた。

小屋には陸亀も捕らわれていた。彼は「親玉は今晩にでもどっちかどっちを食べる算段だ。逃げ出さなければ」とけしかける。そこでシミデュは紐をほどいて、それを壺に結わえた。小屋の前には親玉の兄弟Venkicaが陣取っている。亀の作戦は「無防備のあいつの膝を打つ」。シミデュは棒でしたたか打った。「逃げる方向を教えるんじゃないよ、裏切ったら戻る事になって、またしこたま打つからね」脅しを置きみやげにシミデュと亀は消えた。Venkicaはオリオン座として今でも見える。

狩りから戻った親玉は食材として当てにしていた2匹が消えてご立腹。Venkicaに「あの大女らはどこに行った」と問いつめるが、Venikaは膝の痛さが堪えてかシミデュの脅しが効いたか(親方が引き戻してきたら)難儀と怖れたのか「あの大女の事で煩わすのはやめてくれ」としか答えないから追うを諦めた。

キツツキが道を教えず、違う方向に入り込んだ。蟻塚とジャガーを勘違いして、追われる。このような失敗譚が続く。チョウチョの手助けで村に戻って、己を捨てた夫を焼き殺し復讐を果たした。

 

モンマネキは婚姻同盟をもくろむも、異種婚やら近すぎ婚とやらで失敗する話し。シミデュは夫に捨てられた女が食い物を求めて同盟を計るのだが、相手は一時食を与えるが上手くいかない。するとモンマネキとシミデュの両神話には幾つかの逆転(inversement)が認められる。男狩人対妻女、婚姻同盟対食の懇願(性と食は欲における暗喩関係)、失敗の重なりは共通。

ではシミデュ神話はモンマネキ神話とGlobalを共有できるのか。レヴィストロースはその分類を否定する。「物語化」していると指摘する。

 

 

 

 
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