神話システムズは二重三角である。写真クリックでPDFに

二重三角の上は思想、すなわちメタ神話であることの説明(3頁PDFの一頁目)

イシス神話とアビ女神話の向かう先(ベクトル)が文化と反文化と正反である説明図。しかしながらその構成、仕組みは同等なので、同一のメタ神話の変異(varinates)と見なされる(3頁PDFの二頁目)クリックで3頁PDFに。


参考として以前作成した文化の2重三角形クリック、との比較。

2重三角形は文化を共時的(分析思考)で見ている。今回作成した上下三角形は文化を経時(弁証法)として見ている。

蛇足ながら;

構造主義を巡り、あまた世の学者は「構造」が社会の性格を決めるなど呑気な解釈を流しているが、それは「構造機能論」にしか過ぎない。この論面では「高崎山猿構造の非情」「山口組構造の人為性」など名著が多い(いずれも絶版)

さらにはは「タテ社会の日本、中根著」も構造機能論の端くれとなってしまう。しかし「主義」と「機能説明」は別水準の思考である。構造主義はその濫觴をデカルトに発する「思考」と「存在」の二重性を無神論で説く認識論哲学である。

最近仏哲学者デリダを紹介する著作を読み、当然レヴィストロースにも言及されているのだが、まさに構造機能論で解説している文言を受け容れがたく、教授ともあろうがこの程度なるかと、アビ女が裸足で逃げ回るほどの勢いで猛り狂ってしまった。気合いが入りすぎたな。

未熟を許せ。(蕃神)

南北神話の近似性とメタ神話について;

南から北へ「伝言リレー」的に伝播する仕組みではこれほどの長さにおいて、同一性は保持できないとした。神話を統合するメタ神話なる理念があったはずだと小筆は推測した。神話から物語りへ1~3(201910 15日掲載)に詳しい。グーグルカスタム窓にメタ神話を入れても検索できる。

このメタ神話なる概念はレヴィストロースが本図に組み込んだ上部三角形に他ならない。


 部族民通信ホームページ   開設元年6月10日 投稿2020年3月31日
 
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「裸の男」を読む 続き 中 (人類学) 2020年3月31日

 
     

それにしても;

なぜ英雄は女受けが滅法良いのか、そして危急には必ず女から助けられるのか(イシス神話では蝶姉妹に助けられるなどこの種の挿話は多い)。
それが英雄ヒーローだとしか答えを用意できない。

 

Tsorejowaは兄()が婚家に定着していると知り彼を連れ戻す必要がないと知った。村に戻り、集め揃えた死体と心臓に蘇生術を施し、家族を再興させた。家族には破壊者のPlongeonも含む(死体をアビとして湖水に放たなかった)

 

後日譚がある。

Juka(姉妹を妻にして家庭を築いた)は舅から「妻と子を実家に見せに行ったら」薦められた。再興された実家に戻るとすぐさま父は「隠し子」としJukaを地下に閉じこめた。理由は破壊者のPlongeonも蘇生し、家族に組み入れられているから。

姉妹は別の兄弟に振り分けられた。

 

姉妹が実家に戻って父にこの仕打ちを嘆くのだが「それで良いのだ、かの父親は彼Jukaをこの世から引き離したのだ、Tout est bien ainsi, dit-il, son pere l’a retire du monde, 夫となった兄弟だって悪いことしてないだろうses freres font pour vous d’aussi bons maris」と新たな現状を受け入れ諭す。けれど姉妹は納得しない。婚家に戻りJukaの穴蔵に住むとなった。(Yana族版のアビ女の神話、DamePlongeon 81頁)

 

Atsugewi族とYana族の神話を重ね「アビ女の神話」を以上にまとめた。

 

南米神話(M1に代表される文化創造の足どり)、北米でもこれまで(イシスの冒険神話群)に認められる世界の創造なる息吹が、このアビ女Plongeon神話には感じ取れない。

 

この神話群の全体に流れる思潮は

 

1      文化の破滅的創造

2      道具(狩り、服飾など)の正反利用

3      反同盟、反分散、endo-local, endo-congugal (族の孤立と族内婚、族外と同盟を結ばない)

 

に尽きる。根本で異質な神話群を同じ図式(写真)の仕組みで理解せよレヴィストロースは迫る。上図(神話システムの内訳、Armature du systeme)を理解すれば、イシスもアビも同じ系統であると理解に至ると曰う。一回目に紹介した(二重三角形の仕組み)に詳しい。ロゴををクリック

それなら:

図を解釈して正反対内容の両半球神話を統合しようと試みる。

 

つぶさに見ると上下に三角形を配置する(PDFを参照)。垂直に垂れた矢印は上から下への移動を示す。すると上の三角形が下のそれに表現されていると思える。「上部構造」「下部構造」なのか。思いつきながらこの解釈で進展出来そうだ。なぜなら上部三角とはSで埋まる。Sはシステムである。

 神話システムの内訳Armature du systeme図の解説、全3頁、クリックでPDFに

「構造主義」の出番がでてくる。

 

上部三角はシステム=ideologie、思想である。

下部三角は「形式」となる。

注:思想(頭の中)と形式(世にある実体)の対峙を本質と説く認知論が構造主義である。

 

二重三角をさらに深掘り解析しよう。

 

1      上三角はS、システム。それは思想であり、神話学では「メタ神話」とも言える。

2      あたかも「ビッグバン」のごとく、ある日ある刻、文化が爆発した瞬間がある。その瞬間をS0(ゼロ、レヴィストロースの原図には無い、メタ神話と併せて部族民の独自解釈です)とする。それを契機として「火」を取得する。火は竈に燃える火であり、人が制御出来る火である。

 

3      火の文化展開はS2=>S3と進む。その工程はまず手段が確保されて目的を捕らえる。手段なしの目的という思考手順は(どんな人類にも)持てない。肉塊を前にして火とナイフを持たないオーストピテクスはそれが食べる「目的」であるに気付かない。(ここでの3段階説は言語学、特に構造言語学ヤコブソンの学説に依るところ大と見る。ただしそうした説を「換骨奪胎」を経て人類学に応用している)

4      下三角形は形式です。神話と登場人物をここに割り当てます。S1に対応するは手段としての料理(竈の火と弓矢道具)

5      手段を確保して目的(Viande肉)を見つける。

6      肉が手段となってタバコを見つける(神話M16,生と調理93頁など)

7      タバコは同時に肉を創造する手段でもある(上神話)、ここで手段>目的の連鎖が閉じる。

左の水による文化形成にも7と同様の進展と回帰が認められる。(PDFの第一頁)

かく、南米神話イシスの冒険でこの図が適合する。

アビ女(DamePlongeon)神話に戻ります。

 

1      アビ女に限り女英雄が文化を破壊的に創造する。女英雄なる語の形容矛盾は美しくない、以下ヒロインとする。他神話では英雄(すなわち男)が文化を創造する。

 

2      湖の底に彼女は潜む。アビ(水鳥)の陰鬱な鳴き声が響く湖水に人々の息吹は聞こえない。ヒロインが開いた天地に人は住まない、住む人は地中に埋められ孤立している。

 

3      アビ女では文化の(破壊)始まりは「焼き尽くす火」、文化を否定する火である。ボロロ族など南米神話ではジャガーから盗んだ竈の火(制御できる火)を文化の原点としている。

 

4      Aigle(ヒロインPlongeonの姉)は湖畔に住む兄弟に狩りの道具を与える。彼らが狩るのは野ブタ(viande肉)ではない。食べられないアビである。PDFにて解析した三角形の図式「竈の火+狩猟道具=料理」を手段として、目的の「肉」に向かう弁証法の方向は逆となる、これはすなわちanti-chasse反狩猟である。目的に向かうとは文化から遠のく。反文化なので下向きとした。(PDF2頁目)

 

 

5      (4)説明通り、肉はタバコに対して手段であり、またタバコは「肉の目的」であり、かつそれ自体の目的でもある。この二律背反性をして手段>目的の無限連鎖を断ちきり、神話三角形を閉じる役割を担わせる(レヴィストロースの本書87頁説明から)。

このアビ女神話では肉を「狩る」文化的作業はない、食えないアビは「反肉」である。反肉はあるモノの手段であり目的となる。そのあるモノは反タバコanti-tabac、灰である、かく弁証法的回路は進むが、灰に至って手段>目的の無限連鎖を止め、神話三角形を「反文化」に色づけながら形成する。

灰とはAigleが集めた父、兄弟の心臓である(原文ではdisque、直訳は椎間(円)板となる、「心臓」とあえて誤訳した理由は前述)

Aigleは家族の心臓を集め灰にして蘇生させる。灰は人由来、焼け死んだ者の一部をさらに灰に化けさせ蘇生するとは、元の時代に(文化を未達成、特に同盟が成立していない)戻るループを形成する。

以上が「火」を素材としながらも、反料理、反狩猟()、反タバコなどと文化を反対ベクトルに弁証法的進展させた神話である。

 

6      水を元とした文化発展の様を見ると、服飾(parure)に死者の心臓を首飾りとするPlongeonが挙げられる。本来は水由来(貝、真珠など)を着飾るのだが人由来の服飾をanti-parureとレヴィストロースは説く。

 

7      蜜は火の加工を施さずに(水で希釈して)文化生産物(hydromel蜜酒)となる。蜜は求婚者が嫁実家への贈り物(役務prestation)として重要である。嫁実家では自家消費はほどほどにして、蜜酒を仕込む。村民総出にしてその精製の儀礼が執りもたれるなど、社会同盟の維持に欠かせない。婿の贈り物が多いほど、舅の社会地位は上がる。儀礼、地位、それに見合う服飾の華麗さ、供出する蜜酒の壺の数、これらが社会秩序で、文化そのものである。

 

アビ女神話では「秩序維持」をほのめかす挿話は出てこない。レヴィストロースは「塩泉」を蜜と対比させる。共通点は水、嗜好性、副産物を婿の役務(鹿肉)として利用できる。相違は一方は自然であり、自然を加工し文化となる。片方は人由来(人の涙)である故にanti-miel(反蜜)と位置づける。

 

8      全体を流れる思想は同盟の破壊「反同盟」である。弟と拉致し相姦を迫る姉(Plongeon)、腹いせに家族、村落を火で破壊する。孤立を選ぶ己は湖底で反文化(気味悪い叫び)をたてる。

 

9      一つの挿話に「文化」の足どりが窺え、アビ女神話にして新大陸南北伝播の一環として捉えられる。

生き残った一人は隣村で娘に助け出され、恢復し同盟を結ぶ(娘二人を嫁にする)。その時にヤマアラシが出てきたから「これ幸い」と捕殺して棘毛を抜いて、姑に贈る。また己の涙で鹿を呼び寄せ、多量の鹿肉を舅に贈る。これらは婿の役務で同盟結成の手順が、「文化遵守」で実行された。

一方、この同盟も結局は「蘇った旧家族の計略で」破壊される。男は「隠される弟」に遇される。同盟を否定する宙ぶらりんの文化社会に戻った。

 

以上はPDF1~2頁を参照。

 

アビ女神話はボロロ族の英雄と文化創造神話とは正反対、あらゆる点で「反文化」の思潮を元に語られる神話である。続く

 

 

 

 
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