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 交差いとこ婚の構造主義による解析

 
レヴィストロース著 LesStructuresElementairesdelaParente
 
親族の基本構造 初版本

形態と思想、その相互性を構造主義思考の根源と捉えたきっかけが、いとこ婚の研究である。本書の前々作にあたる「Les stuctures elementaires de la parante親族の基本構造1947年出版」に分析が詳しい。交差いとこ婚の(思想としての)図を掲載する。(Les structures...211頁)

掲載図(下)の解説:Murngin族(オーストラリア先住民)の婚姻システム。ここでの交差いとこ婚は自身を男父親(図のdue男)として、娘(waku)を姉妹(due女)の息子(gurrong)と結婚させ、息子は配偶者(marikumo)の兄弟の娘(mokul-bapa)と結婚させる。due家として所有していた財産(家、土地)はdue女からgurrong女(娘)へ継承され、獲物を狩る技術と権利は私からwaku男(息子)に継承される。図を見て男が継承する権利は縦につながり、女の財産は左下がりの斜め線でつながる。


元図は親族の基本構造から、線は筆者の付加

この図は理念、思想なので実際にはこの通りに行かない。
思想が成立するためには;
全ての家庭が息子、娘を持つ。そのうち一人ずつを継承者に指定する。長子相続ならば長男に「狩りの技術と狩る権利」を相続させる、長姉が家督財産を相続する。分割相続、例えば狩りの権利の分割やマニョック畑の分割など、は難しい。社会の安定の上で一息、一姉の相続となる。
相続から疎外された子は「部屋住み」で身分制度から外れる。(言葉として「部屋住み」が用いられるかは知らないが概念として持つと思うが、アボリジンについては知らない)

悲しき熱帯Nambikwara族の例では男30歳の後半、先住民では初老と云えるか。制度の規制で婚姻できる相手は10歳に達してない。男は辛抱強く少女の生長(性徴)を待つか、他所部族から女を略奪するしかない。
略奪婚は部族戦闘のきっかけの一つ。相手部族もしっかりと婚姻制度を持つから、娘を略奪されたらワリを喰う若者が出ることになる。

婚姻制度において思想と実体の対峙は、かく、構造的に認められる。
対峙構造を持たずに思想のみ、あるいは実体のみという片務はあり得ない。この点についてレヴィストロースはNambikwara族の言語では「認知されていないモノの名詞は無い」と言いきる(役に立たない草には名をつけていない、そんな物に思想など持たないと族民に笑われた)

いとこ婚から離れるが例として、ボロロ族は一時、サレジア会(耶蘇宣教集団)の介入で村落を「ネオブラジル」式に建て替えられた。しかし、社会制度、しきたり、信心などは旧来「思想」のままだった。程なくして母系の円周小屋、中心の男屋の伝統的配置に村落に建て直した。
族民の社会構造の思想は2部、8支族、3階層なので、それとあまりもかけ離れた「ネオブラジル」の平坦村落には居住出来なかった。

村落構造の実際(ボロロ族村落の例)(元年5月22日)

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