部族民通信アラカルト
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学者とは

レヴィストロースの文章の特徴とは特殊な用語がポツリと、行に埋もれる様で出てきて、それについての解説もなしに先に進む。その概念は何かと見切り発車してでも考えなくては、前も後も、理解できない。構造主義=structuralisme=との言葉が出ても意味する処を語らない。

その背景を彼なりに以下に説明しています;

Le savant nest pas lhomme qui fournit les vraies reponces; cest celui qui propose les vraies questions> (本書Le cru et le cuit 序曲15)

訳;学者はあらゆる正しい答えを用意する人ではない、彼はあらゆる正しい質問を提案する人なのだ。

訳注。学者(savant)にしても人(homme)にも、答え質問(複数)にも定冠詞(le)がかぶさります。全ての名詞に定冠詞を付けるとは、全てに断定していると読める。そして文意は「学者は答えない」と。普通は質問するのが弟子で、学者先生は答える。故にこの文は反語です。文書きとして修辞の使い分けで定評あるレヴィストロースは、評判とおりに反語を多く用いるのですが、このケースは学者は「彼自身」と捉えると、反語の落としどころに思い当たり後々が分かりやすい。引用文の正しい訳は
「私は問いかける、答えは自分で考えてくれ」